浮気調査

彼女の様子が最近どうもおかしい。最近なかなか会ってもくれないし、夜、男と歩いていたとの目撃情報もある。そこで、浮気調査をしてもらいたいのだが。と友人に頼まれた。
「今彼女に問いつめても絶対にしらばっくれるに違いない。ちゃんと確たる証拠が欲しいんだ」
と彼は言った。そもそもこんな面倒な案件、関わり合いになりたくないというのが本音だ。しかし、友達に頼まれたとあってはむげにも断れない。決して謝礼の額が良かったからというわけではないことは先に言っておく。友情だ。
さて、浮気調査をしてくれとお願いされたものの、そんなことしたことがない。彼女の後でもつけてみるかと安易に考えたのが間違いのもとだった。浮気調査にはてんでど素人だったおれはあっさりと彼女に見つかってしまったのだ。
50代男性と月20万で愛人契約
「どうして、あたしのことつけてたの?」
彼女とも知らない仲ではない。そりゃ疑問に思うわな。しかし、依頼した友人のことは言うわけにはいかない。そう、どんなにおいしいお酒をふるまわれたとしても。
「へえ、浮気調査ね。あいつもつまらないことを考えるじゃん」
おいしい食事をおごってくれたからって決して彼女にしゃべったわけじゃない。きっと独り言を聞かれたのだ。
「じゃあ、こうしよう」
彼女は言った。
「あたしたち、これから大人の関係になろうよ。そしたら、キミもあいつに言えなくなるものね」
なんという大胆で効果的な口封じを思いつくのだろうか。まるでおれの弱点を知っているかのようだ。
その女のもくろみ通り、おれは友人に本当のことは報告できなかった。

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